第九番正覚山 法輪寺 菩提院

 のどかな田園風景の中にぽつんと建っており、途中の道のりでは本当にお寺があるのだろうかと不安になるような場所にあります。法輪寺は土成町のはずれにあり、10番札所までの中で最ものどかなたたずまいを見せています。

 元々はここから3キロほど離れた谷間の地にありました。弘法大師がこの地で白蛇を見つけ、白蛇は仏様の使いと考えられていましたのでここにお寺を建立し、白蛇山 法淋寺と名付けたのが始まりと言われています。戦国時代にすべてを焼失してしまいましたが、天保年間(1644〜48)にこの地に再建され、名を正覚山 法輪寺と改められました。

 ご本尊は釈迦如来涅槃像で88カ所の中で唯一の涅槃(ねはん)像と言われています。「涅槃」とはお釈迦様が入滅(なくなられる)される姿を模したものであると言われ、右側を下にして横たわった姿をいいます。
 山門には大きなわらじが飾られています。山門をくぐると正面に本堂、右側に大師堂が見えてきます。
 
 付近には昔ながらの茶店が2軒あって名物の草餅を売っています。この草餅は近所の農家で作ったものだといいます。

 このお寺はその立地条件のせいか不思議とほんのりと暖かみを感じさせる雰囲気を持っています。思わずしばらく腰をおろして時を過ごしたくなってしまいます。

参考文献
四国八十八カ所心の旅 癒しの旅(海竜社)
四国八十八カ所巡拝の道しるべ(日地出版)
アサヒグラフ4041号(朝日新聞社)