第六番温泉山 安楽寺 瑠璃光院

 上板町の田園風景の中に安楽寺はあります。竜宮城のような赤い山門があり、正面に立派な本堂があります。

 弘仁6年(815)弘法大師の開基と言われ、温泉山という山号からもわかるように、ここから2キロほど離れた場所にあった昔の境内から豊富なお湯がわき出て万病に効いたと言われています。四国行脚中にここを訪れた弘法大師は、この温泉がわく土地が薬師如来と深い因縁があると直感し、坐像を刻み堂宇を建設して温泉山安楽寺と号しました。それがこの寺の発祥となっています。
 その後天正年間の兵火で焼失し、現在地に移されて再建されたのは江戸時代初期の万治年間(1658〜61)であると言われています。
 正面にはコンクリート造りの非常に立派な本堂があります。ご本尊は薬師如来でお遍路さんが八十八カ所のうち最初に出会う薬師如来であります。

 右手には宿坊があり、茅葺き屋根の風情のある様相をしています。ここの宿坊は八十八カ所巡りの中でも旅の宿として非常に人気が高いと言われています。「温泉山」を山号とするくらいで湯殿も広くて立派で宿泊客に好評です。

 江戸時代にはこの寺は「駅路地」として藩主から指定されていたと言います。「駅路地」とは宿に困ったお遍路さんを優先的に泊めて保護するように指定された特別のお寺で、このような伝統があり、宿泊客を大切にするために人気があるのだろうと思います。