第五番無尽山 地蔵寺 荘厳院

 地蔵寺は地元では「羅漢さん」と呼ばれて親しまれているお寺で、羅漢堂に五百羅漢が展示されているところからこの呼び名があります。また、この地も上板町羅漢と言う地名になっています。弘仁12年嵯峨天皇の勅願により弘法大師が開基したとされています。本尊は地蔵菩薩。
 
 当日は愛媛県のお寺の檀家の方々がバス2台で参拝においでていました。これだけの人たちが一斉に読経しておりますとすごい迫力です。

 地蔵寺はかつて阿波、讃岐、伊予の三国に300余りの末寺を持つ大寺であったと言われますが、天正年間の兵火により、大師堂と御影堂を残しほとんど消失したと言われています。現在の建物はその後の建立によるものです。
 仁王門をくぐると樹齢800年のいちょうの木がそびえ立っています。本堂、大師堂もこのいちょうの木のように歴史を感じさせます。

 地蔵寺は広い敷地を持ち、寺域は一万二千坪あると言われています。本堂を廻って羅漢堂などがある奥の院へと続いています。参拝者の多い本堂の方とはうってかわって広い敷地に自然に見守られるようにひっそりと羅漢堂があります。羅漢堂の中には五百羅漢と弘法大師像が展示されています。拝観券200円。


 中には薄暗いところに約300体余りの羅漢さんが展示されており、悩んだり、悲しんだり、笑ったり、怒ったりしている様々な表情の等身大の羅漢さんがあり、一体一体非常に個性があり、不気味でもあり、不思議に心ひかれます。

 
 羅漢とは仏の弟子で人間としては最高に解脱したものをさすと言うことですが、あくまでも仏にはなれなかったので表情が人間的であるといいます。人間であるが故に迷いを抱き、苦しみながら修行して解脱する様が彫られているといえます。

 元は500体そろっていたとのことですが、大正4年参拝者の火の不始末で火事が起き、大部分が消失しました。羅漢さんも殆ど焼失いたしましたが、その後再刻され現在のように300体あまりが展示されています。

 蒸し暑い炎天下の外からこの羅漢堂にはいるとしばし暑さを忘れ背中がひんやりしてきます。出口近くには大きな大師像があり、心なしかほっとするものがあります。