第四番黒厳山 大日寺 遍照院

 大日寺は五番札所地蔵寺の前を通り、少し山の中に入り込んだ静かなところにあります。朱塗りが鮮やかな鐘楼門を前に三方を山に囲まれてたたずんでいます。途中の細い山道は、大型バスが駐車場まで進入できるように道路工事をしておりました。大日寺と言う寺は八十八カ所の中に三カ所あり、13番、28番にも同じ大日寺があります。

 お寺の開基は弘法大師とされていますが定説はないようです。大師はこの寺で永くとどまり、その時一寸八分(5.5センチ)の大日如来像を彫刻し本尊として納めたとされています。この大日如来は、阿波の藩主であった蜂須賀家が守り本尊とし、建物などを寄進したりするほか手厚く保護したとされています。
 山門左手の手水所にはかつて蛤水(はまぐりみず)と呼ばれる白く濁った水がわき出ており、この水を飲むと胃腸によいと近所の人が水をくみに来ていたと言うことですが、いつしか水はあまり出なくなり現在ではポンプで汲み上げているそうです。ただポンプで汲み上げるようになってから水の色も透明になって効果も薄れたという話です。

 この寺の住職は真鍋家で、特に先代の住職はハンセン病の患者を保護したことで知られています。

 本堂から大師堂間での回廊に33の千手観音が祀られています。歩きながら一体ずつ拝んでゆくのが良いとされています。